知識の海に飛び込み
変化を加速させ
そして自分の力で走っていく洋書トライアスロンへようこそ!
洋書トライアスロン受講生の江黒里美です。
今回の洋書は Game Storming.
今回も非常に興味深いお話となっております。
ゲームが持つ底知れぬ可能性と力!
ゲーム感覚を活用することの素晴らしさを、豊富なイラストと共にたくさんの例が、とても分かりやすく紹介されています。
非常に参考になる1冊なのは確かなのですが、この本はそれだけでなく、 「ゲームの活用」をすることを通して、その行間や後ろ側には
「人と人が関わり合う大切さ。」
「会社への愛。同僚への愛。仲間への愛。お客さまへの愛。そして これから知り合う人達への愛。」
を感じ、そしてみてとることが出来た様に思えます。
それでは早速 ゲーム ストーミングの世界に入ってみましょう。
この本は会議をより面白く、興味深く、そしてプロダクティブなものにするためのハンドブック的な本であります。がしかしそれだけではなく、単なる「より素晴らしい会議にするためのハウツー本。」ということ以上に、「人間の思考がどのようにして新しいアイディアを生み出していくのか?」という、思考の根源にもしっかりと言及しています。
人間の思考のゲームをデザイン化し、そしてそれを「結果」に結びつけていく。
Game storming ゲーム ストーミングとは、通常の会議の方法というよりも、視覚的に、グラフィカルに、そしてマンガ的な要素を取り入れたイラストを使って会議を進めていきます。そしてそれらのイラストをきっかけにグループで考え、ゲーム的にディスカッションをすすめていきます。
それではうだうだであった会議をゲーム的要素を取り入れながら、生き生きと、そしてプロダクティブな会議へと変えるためには、具体的にはどういったことが重要になってくるのでしょうか。
(( 10Essentials for game storming ))
<ゲーム形式で会議を行なうために必要な10の要素>
ファシリテーターの心得
その1)Opening and closing
( オープニングとクロージング : 拡散と閉鎖 )
オープニングとは議論を拡散させていく方法論です。通常のブレイン ストーミングでは、どんなアイディアも批判することなく、アイディアをどんどん広げ、連想させ、そしてつなげていきます。そして様々な観点から、今置かれている現状を見つめていくという方法。
クロージングとは、色々と拡散したアイディアに優先順位を与え、論理的に正しいかどうか、つじつまがあっているかどうかを考え、そして結論に導いていきます。
ここでの注意点は拡散する段階と閉鎖する段階を一緒にやってはいけないということ。アイディアの拡散とまとめを一緒にやることによって、クリエイティビティをなくしてしまい、更には余分に時間がかかってしまいます。
オープニングで出された様々なアイディアを拡散させたまま会議を終わらせてはいけません。一度開いたものは全て閉じる、必ずクロージングをしてから会議を終えることが大切であります。
その2) Fire Starting
明確なテーマの表示。
最も一般的で強力なfire startingは、“question” 「質問」です。
いい質問はどんな挑戦に対しても狙いを定めることができる矢のようであります。
それでは大切な質問とは何か?
例えば、
「私たちは一体何のために今日ここに集っているのか?」
「どんな問題解決をしなければならないのか?」
「あなたは何が欲しいのか?」
「私たちは何が欲しいのか?」
など明確な質問をすることが大切です。
もしくは fill-in-the-blank (フィル イン ザ ブランク)という方法があります。
fill-in-the-blankというのはどういうものかと言いますと、例えば、
「私は〜〜が欲しい。」
「私たちは〜〜が目的だ。」
と会議の参加者が「〜〜」の部分に一言を入れていくという方法です。
ほんのちょっとのとっても簡単なテクニックなのですが、このブランク、空欄を使うことによって、会議をスタートさせる上でのテーマが明白なっていくことができるのです。
その3)Artifacts
(意味を運ぶもの。思考を象徴するような目に見える物を作ることが大切である。)
例えば、ポスト・イット・ノートなどを使う。
ポスト・イット・ノートに書かれたアイディアをチェスの駒のように使い、それらを様々なところに移動しながらお互いの思考を高めていく。
ポスト・イット・ノートにアイディアを書くことは information artifacts を作ったことになります。
アイディアがポストイットに書かれたことによって、それらのアイディアは移動が可能になり、まるでチェスの駒のように動かすことが出来る様になります。
そしてチェスのプレイヤーがそれでゲームができるように、その駒、ポストイットに書かれたアイディアを色々な所に移動しながら、お互いの思考を高めていくことができるのです。
その4) Node Generation
Node、ノードを作り出すということは、 「分類分け」 をするということ。
色々なアイディアが出た後はカテゴリー分けをしなければならない。
例えば、
女性グループと男性グループ。
老人グループと若者グループ。
などなど、色々なアイディアが出た後は ノード 「連結点」、「節」 を作ります。
その5) Meaningful Space
一つ一つのチェスの駒は その3)のartifactなのですが、ポストイットに書いたアイディアたち(artifacts)をただ単に「どさっ。」っとそこに置いておくだけでは全く意味不明なものとなってしまいます。だからこそ、それらの素晴らしきartifactsをより素晴らしいものへとしていくために、それぞれのartifactを、それぞれにとって意味のあるスペースへ配置していかなければなりません。
その3)のartifactsを その4)のNode generation で分類分けにし、今度はその分類分けはどういった「枠」に入れることができるのかを考えていきます。
その枠、grid はまさにチェス板の碁盤の目のようなものであります。バラバラで曖昧な思考を分類し、そして枠に入れていくことで誰もが思考を見え易くすることが出来るのです。
「思考の見える化」の作業をここでします。
その6)Sketching and Model Making
これまでの段階で、それぞれの意見交換がなされ、アイディアが分類され、そしてそれが誰にとっても分かり易い、見やすい「枠」に入れられました。
そうしたら今度は、その結果生まれてくる新たな発想をスケッチしモデルを作っていきます。
その7)Randomness, Reversal, and Reframing
これは発想を更に広げていくためのトレーニングです。
ここで大切なことは、ランダム、遇有性、偶然のように見えて意味があるものを取り入れていくことであります。
その8)Improvisation
これは その7)のランダムの発想と似ているのですが、ジャズ ミュージシャンのように「即興的」にアイディアを出すことによって新たな発想を生み出していくということ。
その9) Selection
今まで出て来た膨大なアイディアをクロージングしていきます。クロージングしていくにあたって、優先順位は何かを考え、そしてより小さな、よりマネージしやすいものへとそれまでに出た膨大なアイディアたちを落とし込んでいきます。そしてどれがより実現可能であるかを考えていきます。
その10) Try Something New
自分の知識やスキルに更なる磨きをかけ続けていく一番の方法は、常に自分自身に正直で在り続けること。
そして常に新しいものを見いだしていくことであります。
次に”Game Storming”では、多くの具体的な方法論が豊富なイラストと共に紹介されています。実際、本当にたくさんのイラストが載っているので、英文を読まなくてもイラストをみているだけでも十分に楽しむことが出来てしまうくらいです。
例1)12個の模様(象形文字)で全ての文字や数字、そして物を描くことが可能である。
グラフィカルに会議を進行していくには、絵が上手にかけないと面白くありません。しかし、「私はちょっと絵を描くのは苦手でして。。」という方にとっては、これは目から鱗の画期的な話であります。
試しに、私自身も本にある12個の模様を使って、数字、人、そして身の周りにあるものを描いてみました。すると確かに、12個の基本の形だけで、描こうとした全てのものを描くことができたのです。絵をいつでもどこでも気楽に描けるようになると、会議の場が盛り上がるだけではなく、自分自身も楽しめますので、これは是非一度チャレンジしてみてください。
例2)Empathy map :共感マップ
これは顧客ターゲットを明確に全員で共有していくためのマップであります。
アイディア的にはマインドマップとよく似ています。
紙の中央にターゲットと思われる人の顔の絵を描きます。そしてその顔の周りに Hearing, Seeing, Saying, Doing, Feeling などといった項目を付け加えていき、顧客プロフィールをより分かり易く、立体的に描写していく方法です。
例3)Forced Ranking (強制的なランク付け)
会議で色々なアイディアが出て来た時に、強制的に優先順位を決める方法です。
会議中に出て来た様々なアイディアをホワイトボードでも模造紙にでも、上から下に向かって羅列していきます。そして会議の参加者がその羅列されたアイディアにランクづけをしていきます。例えば、アイディアが6つでていたら、一番いいと思うアイディアに対して、6点。一番良くないと思うアイディアに1点。といった感じで会議に参加している全ての人達がそれぞれの視点から点数をつけていきます。そしてメンバーがそれぞれにつけた点数をそれぞれの項目(アイディア)において合計していきます。そうすることによってどのアイディアが全体の意見として評価されているのか。ということが見えるようになります。Forced Rankingのアイディアは、議論を収束させていく段階でとてもいい方法論であると思えます。
例4)3−12−3 Brainstorm (ブレイン・ストーミング)
3 Generate a pool of aspects 最初の3分間で色々な議論をします。
12 Develop concepts 次の12分間でコンセプトを作り出します。
3 Make presentations そして最後の3分間でプレゼンテーションをします。
ブレイン・ストーミングは通常、とても時間がかかってしまうのですが、この場合時間を計りながら行なわれるので、だらだらとすることなく、非常に限られた時間の中でスピーディにブレイン・ストーミングを行なうことができる方法論です。
例5) The Anti-Problem
この方法論は既に議論されているトピックに関して、解決の糸口が見えなくなってしまった時に、最も有効な手段であります。
今目の前に問題があるとします。そこに問題があれば、多くの人達はその問題を「解決」しようとします。
この The Anti-Problemの方法は 「この問題は絶対に解決することができない。」という前提でアイディアをだしていく、所謂、逆転の発想の方法論であります。
例えば、
「セールスの成約率をあげたい」 という問題に対して、
「セールスの成約率が絶対にあげられない」 という逆転の発想から、成約率をあげることが出来ない理由を考え出していきます。
問題を解決することができない「言い訳」を探し出すことによって、問題解決につなげていくという方法論です。
例6) Cover Story
これは「カバー・ストーリーをみんなで描いていこう」というゲームです。
例えば、自分の会社が「週間ダイヤモンド」の特集記事になると仮定します。そしてそこには一体どんなことが書かれているのだろう?ということを想像し、実際にストーリーを書いていきます。その特集記事にはどんな商品が掲載されているのだろうか?どんな写真が載っているのであろうか?どんなインタビューがされているのか?また他の会社や、顧客、そして投資家たちから、どんなコメントを寄せられているのであろうか?なぜ我が社のサービスが注目されているのか?ということを考え、想像し、そして実際に カバー・ストーリーを事細かく作り出していきます。
例7)Low-Tech Social Network
これは会場に集った人同士が出会いやすくするための方法論です。
参加者はカードにペンで自分のアバターを描きます。自分のアバターを描いたそのカード(インデックス カード)には、呼び名やプロフィール、そして”自分はどんなことをやっていて、どんなことに興味があるのか”といったことなども書きます。そしてそのカードを壁に貼り付けます。そうすると出会った人同士が 「あ〜、なるほど、この人とこの人はこういう関係があるんだ。」と出会った人同士を線でつないでいく事ができます。一つの点である、参加者それぞれのインデックス カードが線で色々な人達と結ばれていく。そしてそこには 即興の「人脈図」が生み出されるのです。
例8) Pecha Kucha /Ignite ぺちゃくちゃ
これは言葉ではなく、イメージを使ってプレゼンテーションする方法です。
20枚のスライドをそれぞれ20秒という間隔で映し出していきます。このとき、自分ではスライドを好きな時に変える事ができません。別の人が20秒という時間ごとにきっちりとスライドを次々に映していきます。プレゼンをする人は1枚のスライドの持ち時間は強制的に話をしなければなりません。そうすることによって、今まで得られる事ができなかった問題解決を得ることができるかもしれません。
例9) Pie Chart Agenda
通常の会議ですとアジェンダは、
1、はじめに〜〜
2、一番目に〜〜
3、二番目に〜〜
といった感じで、上から下に箇条書きで書いていってしまいます。そうすると、ついつい最初の方のアジェンダで時間を使い過ぎてしまい、後ろの方のアジェンダをじっくりと話し合う事ができない、といった場合がよく起きてしまいます。しかしこの パイ・チャート・アジェンダを使う事によって効率よく会議の時間を使う事ができるようになります。
パイ・チャート・アジェンダは 時計のように円を描き、更に実際の時計のように数字を書くか、線を描きます。そして12時から2時の間はイントロダクションで、2時から7時までが ブレイン・ストーム。7時から9時がロール アサイメント、役割分担して、そして9時から12時でクロージング。といった具合に パイ チャートを作ります。
アジェンダを上から下に箇条書きにしていくより、このパイチャートを使ってアジェンダを作れば、これが仮に2時間の会議であったとしても、会議の参加者はそのパイチャートアジェンダをみるだけで、自動的に時間配分が頭に入ってくるのです。
例10) Affinity map (親近感マップ)
会議参加者のみなさんは、それぞれに発想をどんどん出し、ポストイットに書き出していきます。そしてそれぞれがポストイットに書き出したアイディアを似た者同士でまとめていきます。グルーピングをすることができたら、今度はそのグループの欄の上にラベルをつけます。このグループは一体どういう分野についてのアイディアなのか、とアイディアをカテゴライズしく方法です。
例11) Design the Box
抽象的な商品やサービスを売っているものを具体的にしていくアイディア。
たいてい抽象的なサービスを売っていると、議論は拡散したままでなかなかクロージングすることができないものです。そこでこの「デザイン・ザ・ボックス」、「箱をデザインしよう」というお話です。
これは「ダンボールが送られてくる。」という設定です。そのダンボール箱がお客さんのところに届いた時、
そのダンボールはどういったデザインなのか?
一体それはどこからどこに送られているのか?
どういった人に対して送られているのか?
そのダンボールにはどういった説明書きがされているのか?
ダンボールを開いたら、いったいその中には、何がどういう順番で入っているのか?
更には どんな特典が入っているのか?
などなど最終成果物が送られるというようなイメージで、曖昧なサービス、手に取ってみることができない、インタンジブルな商品をお客様に届ける箱の姿からイメージして考えてみると、色々とアイディアがでやすくなるという方法論です。
例12) Speedboat
「船」の絵を描きます。その船の横には、それはどんな船なのか、その船の名称を書き込みます。それはその会議のトピックであったり、会議のテーマを象徴するようなものであったりします。そしてその船には何本かの「いかり」がついています。スピードボートが前進するにあたって、障害となっている「いかり」。それではその「いかり」たちは一体なんなのであろうか?ということを会議に参加している一人一人が考え、それぞれのアイディアをポストイットに書きだし、そしてそれらをいかりの周りに貼っていきます。そうすることによって、議論をより見える化していく事が出来るという方法論です。
最後にクロージングのお話です。
(Memory Wall)
会議の終わりに参加者それぞれが、その会議を通して自分が学んだ事、人から教えていただいた事、新たな気づきを得た事などをイラストなどを使いながら楽しく紙に書き出していきます。そしてその紙を Memory Wall 、壁一面に貼り付けていきます。そうすることによって壁自体が一つに絵になるので、それ自体が非常に意義のあるイベントとなれます。
クロージングをする上で、やはり大切なことは 「優先順位」をつけるということ。優先順位をつけるのはなかなか難しいものですが、そんな難しい優先順位づけをゲーム感覚で楽しく出来る方法が、
($100 Test):(100ドルテスト)であります。
1万円の予算の中で、あなただったらそれぞれの項目にいくらの予算をつけていきますか?というゲームです。
○ インターネット アクセスには2100円。理由は〜〜〜だから。
○ 目覚まし時計に750円。理由は〜〜だから。
○ ヴォイス レコーダーに300円。 理由は〜〜だから。
などと言った具合に、全ての項目に予算づけをしていきます。そうすることによって優先順位付けというのが、よりゲーム感覚で楽しくやっていく事が出来るのです。
今までにあげてきた例は Game storming の中ほんの一部の例題であり、まだまだ会議をよりプロダクティブにそして楽しく、ワクワクするように変える事ができるような 素敵なお話がたくさん書かれています。
やはり、何をやるにしても、遊び心を忘れずに、楽しく、そしてワクワクできなければいいものは生まれないですよね。
それでは 今回も非常に長い、長いお話となってしまいましたが、ここまで一緒にお付き合いして下さったみなさま、本当にありがとうございました!
Game storming こちらの本は内容も素晴らしいのですが、ビジュアルでも本当に楽しむ事ができます。そしてなんといってもイラストたちはとても参考になりますので、これは 「買い」の1冊となりそうですね。(笑)
それではみなさま、また次回の洋書トライアスロンでお会い致しましょう〜!
ありがとうございました。